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中学生におすすめ!心に響く小説10選 – 成長や感動を与える名作を紹介

Essay

中学生におすすめしたい小説10選

『コンビニ人間』 – 村田沙耶香 おすすめ度:★★★★☆

村田沙耶香の『コンビニ人間』は、現代社会における「普通」や「適応」とは何かを鋭く問いかけるユニークな作品です。主人公の古倉恵子は36歳の独身女性で、18年間コンビニで働き続けてきました。彼女は子どもの頃から周囲の人たちと「普通」に馴染めない自分に違和感を感じており、社会の中でどう生きていけばいいのかを常に模索してきました。

しかし、規則正しく管理されたコンビニの環境の中では、自分が「普通」に振る舞える場所を見つけ、そこでの仕事に安らぎを感じています。

恵子にとってコンビニは、自分の居場所を見つけた安心感の象徴であり、彼女はコンビニの規則やマニュアルに従うことで、自分自身を守り、社会に適応しています。

しかし、社会的な「普通」や「常識」に従わない生き方に対して、周囲から「結婚すべきだ」「正社員になれ」といったプレッシャーがかかり、彼女はその期待に苦しむことになります。

この作品のメッセージ
『コンビニ人間』は、自分がどう他者と違っているか、自分らしさをどう守り抜くかについて考えさせてくれる作品です。社会における「普通」や他者の期待に従うことに疲れた時、自分が何を大切にするべきか、恵子の生き方を通じて学ぶことができます。


『夜のピクニック』 – 恩田陸 おすすめ度:★★★★☆

恩田陸の『夜のピクニック』は、高校生たちが一晩かけて80kmを歩くという「夜歩き」の行事を舞台に、彼らの友情や内面的な葛藤を描いた青春小説です。

全校生徒が一緒に夜通し歩くこの行事は、彼らにとってただの体力的な挑戦ではなく、心の成長や人間関係の再構築の場となります。特に、主人公の甲田貴子と西脇融の関係は物語の中心であり、互いに異母兄妹であることを知りながらも、その秘密を隠していることが二人の間に複雑な感情を生み出しています。

歩きながら、それぞれの登場人物は自分の抱えている悩みや不安、将来への不安を静かに考え、行進の中で成長していきます。貴子と融もまた、兄妹としての距離感に葛藤しつつも、この夜を通じて互いの気持ちを理解し、少しずつ心を通わせていきます。

この作品のメッセージ
『夜のピクニック』は、青春期に感じる悩みや不安、そして成長の過程をじっくりと描き出しています。友人や家族との関係を見直し、自分の中にある感情と向き合う大切さを教えてくれる作品です。登場人物たちと共に歩きながら、自分自身も成長していく喜びを感じることができるでしょう。


『キッチン』 – よしもとばなな おすすめ度:★★★★★

よしもとばななの『キッチン』は、失ったものに対する悲しみと、その中で新たな絆を見つけることで再生していく過程を描いた感動的な物語です。

主人公の桜井みかげは、両親を早くに亡くし、唯一の肉親である祖母と暮らしていましたが、その祖母も亡くなり、彼女は完全に一人になってしまいます。そんな彼女を救ったのが、祖母の知り合いである田辺雄一とその母エルメスでした。彼らとの新しい生活を始めることで、みかげは少しずつ心の傷を癒していきます。

物語の中心にあるのは「キッチン」という場所です。みかげにとってキッチンは、ただ料理をする場所ではなく、心の安らぎを感じることのできる特別な空間です。彼女は料理を通じて自分を癒し、失ったものを取り戻していくように、自分自身も少しずつ前向きな気持ちを取り戻していきます。料理を通じて他者との関係を築き、新しい家族の形を見つけていくみかげの姿は、読者に深い感動を与えます。

よしもとばななの文体は非常にシンプルですが、その中に感情の機微が繊細に描かれており、みかげが再生していく姿に心を揺さぶられます。喪失と再生のテーマは、誰もが一度は経験する人生の一コマであり、この物語はその困難をどう乗り越えるかを優しく教えてくれる作品です。

この作品のメッセージ
『キッチン』は、失ったものをどう受け入れ、新しい人間関係の中で再生していくかを描いています。孤独感や喪失感に悩む人にとって、他者との絆の大切さと、それによって心が癒される過程が描かれており、読者に温かさと希望を与える物語です。


『青くて痛くて脆い』 – 住野よる おすすめ度:★★★★★

住野よるの『青くて痛くて脆い』は、若者が抱える理想と現実のギャップ、そしてそれによって生じる葛藤や痛みを描いた感動的な青春小説です。物語は、他人と距離を置いて生きてきた大学生の田端楓と、明るく前向きな秋好寿乃という対照的な二人を中心に展開します。寿乃は「世界を少しでも良くしたい」という理想を掲げ、サークル「モアイ」を立ち上げます。楓は彼女に影響を受け、徐々にその活動に加わっていきます。

しかし、次第に「モアイ」は寿乃の理想とはかけ離れた存在へと変貌していき、サークル内部での対立や組織の腐敗により、楓と寿乃の関係にも亀裂が生じます。夢や理想が現実によって歪んでしまう過程で、楓は何を信じ、どう行動すべきかを模索することになります。

この作品のメッセージ
『青くて痛くて脆い』は、若者の理想が現実にどう向き合い、どのようにして自分自身を守り抜くかを描いた作品です。理想を抱きつつも、その理想が壊れたときにどう立ち直るかを教えてくれます。青春の痛みと成長の両方を味わえる一冊です。


『坊っちゃん』 – 夏目漱石 おすすめ度:★★★☆☆

夏目漱石の『坊っちゃん』は、日本文学を代表する作品であり、明治時代の日本を舞台に、江戸っ子気質で正義感が強く無鉄砲な青年「坊っちゃん」が、四国の田舎町にある中学校で数学教師として奮闘する物語です。坊っちゃんは、正義感が強く、曲がったことが嫌いな性格のため、学校内の不正や偽善に立ち向かいますが、次第に同僚教師や生徒たちとの間で対立が生じます。

物語の中で、特に印象的なのは坊っちゃんと「赤シャツ」という教頭との対立です。赤シャツは、表向きは教養のある紳士として振る舞いますが、実際は陰で不正を働く人物です。坊っちゃんは、この赤シャツの陰湿な行為を暴こうと奮闘し、彼の正義感と無鉄砲な行動が痛快な展開を生み出します。

この作品のメッセージ
『坊っちゃん』は、正義感を持って生きることの大切さを教えてくれる作品です。社会の不正や理不尽に対して、どのように自分を守り、他者と向き合うべきかを、坊っちゃんの行動を通じて考えることができるでしょう。


『D坂の殺人事件』 – 江戸川乱歩 おすすめ度:★★☆☆☆

江戸川乱歩の『D坂の殺人事件』は、日本の探偵小説史における金字塔的作品であり、名探偵・明智小五郎の初登場作品としても有名です。物語は、東京のD坂にある古本屋で起こった殺人事件を中心に展開します。明智は偶然にもこの事件に関わり、わずかな手がかりから犯人の動機や行動を推理し、巧妙に隠された真相を暴いていきます。

本作は、乱歩が得意とする緻密な推理と、意外な犯人像が特徴的です。事件の発端から、犯人の動機、そしてその裏に隠された人間心理の闇まで、明智の鋭い洞察力が発揮されるシーンが続きます。読者は明智と共に、次々に提示される手がかりを追いながら、事件の謎を解き明かす楽しみを味わうことができます。

この作品のメッセージ
『D坂の殺人事件』は、推理の面白さだけでなく、人間心理の複雑さを描いた作品です。明智の鋭い推理力を通じて、論理的思考の重要さを学びつつ、人間の感情の奥深さにも気づかされる一冊です。


『時をかける少女』 – 筒井康隆 おすすめ度:★★★☆☆

筒井康隆の『時をかける少女』は、青春と成長、そして時間に対する洞察を描いたSF小説の傑作です。主人公の芳山和子は、ごく普通の中学生でしたが、ある日突然、時間を自由に行き来できる能力を手に入れます。和子はこの能力を使って様々な過去や未来を体験し、時には自分の未来を変えようと試みますが、その中で次第に「時間」の持つ意味や、自分がどう生きるべきかについて深く考えさせられるようになります。

この物語は、時間というテーマを通じて、成長や人間関係、そして青春の儚さを描いています。和子は、時間を自由に操ることができるという特殊な力を得たことで、周囲の人々との関係を修復しようとしますが、同時にその力がもたらす複雑な感情や葛藤にも直面します。時間を操作することで生じる矛盾や、未来を知ってしまうことで抱える不安や迷いが、和子の成長を促します。

この作品のメッセージ
『時をかける少女』は、時間をどう捉え、今をどう生きるべきかを考えることを促す作品です。未来に対する不安や過去への後悔を抱えながらも、今この瞬間に向き合うことの大切さを教えてくれます。


『風の歌を聴け』 – 村上春樹 おすすめ度:★★★★☆

村上春樹のデビュー作である『風の歌を聴け』は、現代日本文学のスタイルを確立した作品です。この物語は、名前のない「僕」が、ある夏の出来事を回想する形で展開されます。1960年代後半を舞台に、「僕」と親友の「鼠」は、バーで日々を過ごしながら、何気ない会話を交わし、日常を送っています。しかし、その日常の中には、青春期特有の喪失感や孤独、漠然とした未来への不安が漂っています。

物語は大きなプロットに縛られることなく、断片的なエピソードや会話によって進んでいきます。「僕」が経験した些細な出来事や、失われた恋人との思い出、鼠との友情が淡々と描かれ、その中で青春期に感じる虚しさや喪失感が浮かび上がってきます。特に、村上春樹特有の軽やかでリズミカルな文体が、この作品を独特なものにしています。

この作品のメッセージ
『風の歌を聴け』は、青春の儚さと、日常に潜む小さな喪失感を描いた作品です。人生に明確な答えがないことを受け入れながらも、日々を生きることの意味を探り、自己と向き合うことの大切さを教えてくれます。


『西の魔女が死んだ』 – 梨木香歩 おすすめ度:★★★★★

梨木香歩の『西の魔女が死んだ』は、現代社会における自分探しと成長の物語を描いた感動的な作品です。物語の主人公は、学校生活に馴染めず不登校になった中学生のまい。彼女は母親に連れられ、田舎に住む祖母の家でしばらくの間生活を送ることになります。まいの祖母は、自分を「西の魔女」と称し、まいに「魔女修行」を通じて自立心を育むよう助けます。

まいは、祖母との生活の中で自然と触れ合い、自分のペースで物事を進めていくことで、徐々に心の傷を癒していきます。祖母の教えは、「魔女修行」と称していますが、実際にはまいが自分の力で困難を乗り越えるための心構えであり、その過程を通じてまいは成長し、自分らしさを見つけていきます。

物語を通じて、祖母とまいの関係は非常に温かく描かれており、まいが少しずつ心の成長を遂げていく姿に心を打たれます。また、祖母の死が訪れることで、まいはさらに自分と向き合い、自立する決意を固めます。ファンタジーの要素を取り入れながらも、現実的なテーマを描き、読者に深い感動を与える作品です。

この作品のメッセージ
『西の魔女が死んだ』は、成長と自己発見をテーマにした物語です。自分の力で問題を乗り越え、自立していく過程が描かれており、他者との温かい絆が自分を支えることの大切さを教えてくれる作品です。


『博士の愛した数式』 – 小川洋子 おすすめ度:★★★★☆

小川洋子の『博士の愛した数式』は、数学の美しさと人間関係の絆を描いた感動的な物語です。記憶が80分しか持たない天才数学者「博士」と、彼の世話をする家政婦、そしてその息子との交流を通じて、家族のような絆が育まれていきます。博士は過去の記憶を失いながらも、数学への愛情だけは失わず、家政婦の息子にもその美しさを教えます。

博士は毎日新たな気持ちで彼らと接し、数式の中に存在する永遠の真理を彼らに伝えます。物語は、家政婦と息子、そして博士との短い交流を描きつつ、数学が持つ不思議な魅力と、記憶が途切れても続く人間の絆を浮かび上がらせます。

この作品のメッセージ
『博士の愛した数式』は、数学を通じて人間関係の不思議なつながりを描いた作品です。記憶が途切れても、人との交流が心に刻まれることの重要さを教えてくれます。数学を題材にしながらも、温かな人間関係が描かれる感動的な一冊です。

中学生くらいに本を読んでおいた方がいい。マジで。

「若者の○○離れ」という言葉が溢れかえっておりますが、その原因がほとんど「若者の貧困」であることは、聡明な皆様ならすでにご存じのことでしょう。

しかしながら、こと読書に関してはそんなことを言ってられません。若者の読書離れに貧困もクソもないのです(そんなことないのかもしれないけれど、馬鹿な私にはよくわかりません)。

なぜなら本は言うても安いし、最悪図書館で無料で読めるからです。

僕自身、別の仕事で中学生と関わる機会が多いのですが、彼らはアニメもVTuberもTikTokもInstagramも見ますが、本だけは読まないのです。

それはなぜか。簡単な話、上記のようなコンテンツのほうが安易にドーパミンを得られて、楽しいからです。基本的に白と黒色しかない紙の上で、文字だけがずらずら並べているものにわくわくするような人は、十中八九変態だからです。

しかし、十数年前よりはるかにコンテンツが肥大化しているいま、まさに貴様らが手に取らないといけないのは、昔ながらの娯楽。つまり小説なのである!

学力なんてなくとも、世の中なんとかなるものですが、将来的に「本を読める馬鹿」になるか「本すら読めない馬鹿」になるかには、どえらい差があります。

最も感受性が豊かに育ちやすい中学生や高校生のときほど、物語を通して相手がなにを伝えたいのかを探る力は持っておかないといけません。さもないと本当になにもない馬鹿になります。

この記事を読んでいる中学生のみんな。あなたたちは賢明だ。今すぐスマホを窓から投げ捨てて、小説を手に取るのだ。さすれば他人と一線を画すレベルの高い人間となるだろう。

この記事を読んでいる大人のみんな。子供に「これを読んでみろ、あれを読んでみろ」と勧める前に、あんたらが読み始めろ。偉そうな口をきく前に、あんたらが変わらんでどうする。自分ができもしないことを子どもに押し付けるな。あんたらが手本となれ。

以上、解散!

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