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純文学と大衆文学の違いとは?初心者にもわかる簡単解説

Essay

日本の文学には「純文学」と「大衆文学」という2つのカテゴリーがありますが、その違いを正確に説明できる人は少ないかもしれません。この記事では、初心者にもわかりやすく両者の違いを解説し、それぞれの魅力を掘り下げていきます。さらに、芥川賞と直木賞という2大文学賞を通じて特徴を具体的に比較し、最後にはおすすめの小説もご紹介します。あなたにとってぴったりの文学作品を見つけるヒントとなれば幸いです。


純文学と大衆文学の基本的な違い

純文学と大衆文学は、目的や読者層、作品のテーマ、表現方法などにおいて大きな違いがあります。このセクションでは、それぞれの基本的な特徴を見ていきましょう。

純文学の特徴

純文学は、物語の「芸術性」「文学性」を重視したジャンルです。

人生の本質や人間の内面を深く探求するテーマが多く、哲学的な要素を含むことも少なくありません。

読者には考えさせる余地を与え、読後の余韻が残ることを目的としています。

そのため、読後に「結局なんだったのかわからない」と思われてしまうのが、純文学のあるあるです。

日本においては、明治時代以降の近代文学がこのジャンルの起点とされています。

大衆文学の特徴

大衆文学は、その名の通り「大衆向け」に書かれた文学です。

エンターテイメント性が高く、わかりやすいストーリー展開と平易な文章が特徴です。

読者を楽しませることが主な目的であり、娯楽小説、ミステリー、恋愛小説など幅広いジャンルを内包しています。


芥川賞と直木賞が示す純文学と大衆文学の違い

日本文学において、純文学と大衆文学の違いを象徴するものが「芥川賞」と「直木賞」です。これらの文学賞は、それぞれ異なる基準で作品を評価しています。

芥川賞と純文学

芥川賞は、1935年に創設されて以来、純文学の新人作家を対象とした賞として知られています。受賞作品はしばしば実験的で、文学的な挑戦が評価の対象となります。

  • 中上健次『岬』:詩的な文章で地方の生活を描写した短編。
  • 村田沙耶香『コンビニ人間』:現代社会と個人の価値観のずれを鋭く描いた作品。

直木賞と大衆文学

一方の直木賞は、大衆文学を対象とし、幅広い読者が楽しめる作品を選ぶ賞です。物語の面白さや感動が重視され、多くの人々に読まれる作品が受賞作として選ばれる傾向があります。

  • 川越宗一『熱源』:極寒の地を舞台に、人間と自然、歴史を壮大なスケールで描いた物語。
  • 島本理生『ファーストラヴ』:心理的な葛藤を深く掘り下げ、愛と真実をテーマにした感動作。

純文学と大衆文学の違いのまとめ

純文学と大衆文学の代表作を比較すると、表現方法やテーマ、読後感に大きな違いが見られます。

表にまとめてみましたのでご覧ください!


要素純文学大衆文学
目的芸術的・内面的な探求読者を楽しませること
テーマ抽象的、哲学的、難解なテーマ恋愛、ミステリー、冒険などわかりやすいテーマ
文章文学的で難解平易でわかりやすい
文学賞芥川賞直木賞
読後感余韻や考えさせられる感覚が残るスッキリした満足感
ナゼ・ブック・クラブ

純文学と大衆文学の魅力

純文学と大衆文学は、それぞれ異なる魅力を持っています。どちらにも独自の価値があり、読む目的や気分に応じて選ぶことで読書体験がより豊かになります。

純文学の魅力

純文学の最大の魅力は、作品を通じて深い思索へ誘われる点です。抽象的なテーマや緻密な心理描写を通じて、読者は自分自身の考えや価値観を見つめ直す機会を得られます。

  • 精神的な成長を促す:哲学的なテーマや人間の複雑な感情に触れることで、新たな視点を獲得できます。
  • 文章そのものの美しさを楽しむ:言葉遣いや表現が芸術的であり、文章を味わうこと自体が楽しみとなります。

大衆文学の魅力

大衆文学は、エンターテイメント性を重視しており、誰でも気軽に楽しむことができます。読者を物語の中に引き込み、感動やスリルを味わわせることがその魅力です。

  • リラクゼーション効果:日常の忙しさを忘れ、物語の世界に没入することでストレス解消になります。
  • 共感しやすいキャラクター:現実にいそうな人物が多く、物語への親しみを感じやすいです。

純文学と大衆文学は実は融合している!?

文学のジャンル分けの限界

純文学と大衆文学という区分けは、読者や評論家の間でも議論の的となることがあります。

一部の作品は「純文学的な大衆文学」として評価されることもあり、ジャンルの境界は必ずしも明確ではありません。

「純文学と大衆文学のミックス」の登場

文学のジャンル分けの限界の背景には、純文学と大衆文学の特徴を兼ね備えた作品の存在があります。

このような融合作品は、文学賞の選考にも影響を与え、新しいトレンドを生み出しています。

その代表的な作家が村上春樹です。彼の作品は純文学的な特徴が根底にはあるものの、全体を見れば大衆文学的らしい構造をとっています。

そのほか、芥川賞作家は「純文学と大衆文学のミックス」ともいえる作品を出す傾向が高いです。

これはひとえに純文学の商業的限界が原因です。純文学は大衆文学に比べて売れにくいので、それだけを書いて食べていけるような作家はまずいないし、大人が書かせてくれないという事情もあります。


これから読むべきおすすめの純文学・大衆文学

最後に、純文学と大衆文学それぞれの代表的なおすすめ作品を紹介します。初めて読む方でも楽しめるよう、幅広いテーマの中から選びました。

純文学のおすすめ

  • 太宰治『人間失格』:人間の内面を直視する、純文学の代表的な一作。
  • 三島由紀夫『金閣寺』:日本の美学を象徴する哲学的作品。
  • 安部公房『砂の女』:不条理文学の金字塔として知られる作品。
  • 川端康成『雪国』:日本文化の美と儚さを詩的に描いた名作。
  • 村上春樹『海辺のカフカ』:現代文学に新しい風を吹き込んだ幻想的な物語。

大衆文学のおすすめ

  • 東野圭吾『流星の絆』:兄妹の絆と復讐を描いた感動作。
  • 森見登美彦『四畳半神話大系』:ユーモアと皮肉に満ちた青春SF小説。
  • 河野裕『昨日星を探した言い訳』:切ない恋と過去の記憶が交錯する青春文学の頂点。
  • 池井戸潤『半沢直樹シリーズ』:ビジネスの裏側を描く爽快ストーリー。
  • 湊かなえ『告白』:心理サスペンスの傑作として高い評価を得た作品。

初心者におすすめの読み方と楽しみ方

純文学と大衆文学は、それぞれ異なる楽しみ方があります。初心者でも気軽に読書を始められる方法を紹介します。

読み始める順番を工夫する

純文学に慣れていない場合は、難解な作品よりも、比較的読みやすい短編や入門向けの作品から始めるとよいでしょう。一方、大衆文学では、自分が興味を持つジャンルやテーマから選ぶことをおすすめします。

  • 純文学の入門作:川端康成の短編や、村田沙耶香の『コンビニ人間』
  • 大衆文学の入門作:東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』や、宮部みゆきの『理由』

作者の背景を調べる

作品を読む際に、作者の人生や執筆背景を知ることで、より深く物語を理解できることがあります。純文学では作者の哲学や思想を知ることが特に有益です。

  • 例:太宰治の『人間失格』を読む際、太宰自身の生涯を知ることで、物語の意味がより深く感じられる。

SNSや読書会を活用する

最近では、書評やSNSで読書仲間を見つけることも読書を楽しむ一つの方法です。他の人の意見を参考にしながら、作品の解釈を広げることができます。

また、読書会は、自分の感想を共有したり、他の人の視点に触れる絶好の機会です。一人では気づけなかったテーマや象徴に気づくことで、作品への理解が深まるだけでなく、新たな本との出会いにも繋がります。さらに、共通の興味を持つ仲間と意見を交わすことで、読書がより楽しく、充実した時間になります。

「ナゼ・ブック・クラブ」では、さまざまな作品をテーマにした読書会を開催しています。初心者から経験豊富な読書家まで、どなたでも参加OK。新しい発見と出会いを、一緒に楽しみましょう!


まとめ

純文学と大衆文学には、それぞれの魅力と価値があります。純文学は読者に深い思索と精神的な刺激を与え、大衆文学はリラクゼーションや楽しさを提供します。芥川賞や直木賞の受賞作を入り口に、両ジャンルを楽しむことで、文学の奥深さを体験できるでしょう。

この記事を参考に、あなたにぴったりの作品を探してみてください。純文学と大衆文学の世界は広く、どちらも人生を豊かにする力を持っています。ぜひ、最初の一冊を手に取り、その魅力を体感してください!

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